この記事では、週刊少年ジャンプ2025年8号に掲載の「カグラバチ」第64話の感想と考察を書いていきたいと思います。サブタイトルは「ビカム侍」。
座村の娘イヲリを狙う“毘灼”久々李(くぐり)の前に立ちふさがるのはチヒロ。チヒロにとっては初めての妖刀を抜かざる実戦です。果たしてどんな戦いがくり広げられるのか!
チヒロと共にイヲリを守りたい「巻墨」については上の記事で詳しくまとめていますよ。第64話でも登場しますので、しっかり押さえておきたいですね!
チヒロにはない圧倒的な“剣術”
第61話でチヒロの巻墨の3人が「CAFFE 風和」で食事をとりながら、状況確認とこれからの作戦を話し合うシーンがありましたよね。この時には描かれなかった話が出てきます。
現在 集中治療中のハクリが再び起きるまでに問題は少しでも解決しておきたい。チヒロの病室でそう話していたのが巻墨の隊長である郎(第60話)。
その言葉を確認した上で、チヒロには「早急に解決すべきなのが一つ」あると言う。それはチヒロ自身が「弱い」というものでした。
出典:カグラバチ|外薗 健|集英社
ずっとハクリの無茶に救われてきたのであり、チヒロ自身もそれに頼ってしまっていた。俺が強かったなら… と。自分の弱さがハクリの現状を招いたと自覚するチヒロ。
それは言い過ぎだと郎は言うのだが、チヒロには戦いに戻るなら今のままじゃダメだという危機感があるんですね。チヒロには足りないものがある。それがチヒロが弱い理由。
足りないのは 圧倒的な“剣術”!
座村と対峙した時に感じた決定的な差です。座村達(妖刀契約者)にあって自分にないもの。これをチヒロは手にしなければならないと思っている。外ならぬ目の前の久々李との実戦の中で。
妖刀使いとしても一段上へ
玄力を身体に巡らせる事で、人間離れした動きや耐久力が得られる。これが玄力による「身体強化」であり、その先に「妖術」がある。逆に言えば妖術を使う土台として強化された肉体が必要。身体強化ができてこそ幻術が使えるって事。
これが第32話で出てきた説明です。
剣術はその延長で、身体から刀へとうまく玄力を巡らせる事でより強力な剣戟を生む。身体だけじゃなく刀にも玄力を上手に巡らせて強化できたならば強い斬撃を生み出せる。この理論なんでしょうね。
そこでチヒロと契約者達(座村達)を比較すると?
妖刀の使用歴ならチヒロの方が長いのに、視えている妖刀の奥行は明らかに契約者達の方が上。それは誰にも剣術を習ってこなかったチヒロに対して、契約者達は斉廷戦争前からその道で名を馳せていた剣豪達だったから。
使用歴が長いので妖刀・淵天とチヒロの親和性に関しては問題ない。しかし剣術を習っていないから、刀にうまく玄力を巡らせる事ができていない。ここが問題なんですね。チヒロは剣士として未熟だから淵天を使いこなせていない。
出典:カグラバチ|外薗 健|集英社
そこで剣術を極める事が妖刀使いとして一段上へ登る為にも必要だと悟った。剣術を極めたなら、さらに「妖刀・淵天」の“本領”を引き出せるのではないか。ここにつながって行くのかもね?
剣術を極めれば妖刀の“本領”を呼び起こせるのかも?
座村が日本全土の空に展開している“梟”。これは玄力反応が“鳥”である「妖刀・飛宗」を使った幻術。これは座村が剣術を極めているから可能な事なのかもね。妖刀を使ってできる事のバリエーションが多彩。
チヒロも剣術を極めたなら、「妖刀・淵天」を使ってできる事の幅が広がるのかも。これがチヒロより契約者達の方が上という「視えている妖刀の奥行」の意味なんじゃないかな?
久々李の喝
座村が“梟”で玄力感知をしているのでチヒロは妖刀が使えない。それはつまり淵天の機能に頼る事ができない。チヒロ本人の実力(剣術)が試されるのです。
チヒロと久々李の差は明らかです。しかし、ここを乗り越えなければならないのがわかってる“巻墨”の2人はカバーに徹するつもりでいるみたい。
久々李はまだ妖術を使っていない。玄力を伴う剣術のみです。チヒロからすれば良い“お手本”なんですよね。“模範”を見せてくれているんです。よし、実戦で修行だ!
しかし話はそう上手くはいかない。
久々李はチヒロの事を「剣士」だと聞いていたんでしょうね。話が違うぞ?と。太刀筋と玄力がごちゃごちゃ。久々李からすれば、まるで剣士とは言えないのでしょう。
聞けば師匠などいないと言う。つまり剣術を習っていないという事。どうするのかというと「ここで磨く…!!」と。これが久々李の逆鱗に触れてしまう。
久々李は剣の“流儀”というものを大切にしてる。ちゃんと師匠に付いて基礎から習うべきと考えてるっぽい。剣の道に真摯に取り組んで来たんでしょうね。
出典:カグラバチ|外薗 健|集英社
実戦に身を晒せば自ずと剣術が磨かれるなんて。そんな考え方ならやめてしまえ!チヒロを一喝する久々李。これがターニングポイントなんですよね。後の展開を予想しても。
居合 白禊流
久々李から打ち合いを拒否されたチヒロ。座村の娘イヲリを追わせる事になってしまいます。すぐさま開くチヒロと久々李の距離。それは両者の剣術の差でもある。遠い!
チヒロは久々李からの喝の意味を理解。
今はまだ久々李のように流動的に玄力を乗せる事はできない。だから単発の“型”に玄力を嵌め込む。それを実践する為の“模範”なら身をもって習っていた。
第59話で座村に居合で斬られているんです。
チヒロの脳裏に浮かぶのはハクリの言葉。「俺の人生には侍が必要だ…!!」。ならば、これからチヒロが侍に成ってみせる。ハクリに頼るのではなく頼られるように。
出典:カグラバチ|外薗 健|集英社
「居合 白禊流」を構えるチヒロ!
冒頭で炭から鞘を受け取っていたのはココにつながる為だったんですね。玄力を刀に巡らせるのではなく溜めるというのもポイントです。これなら今のチヒロでもできる!
一気に久々李との距離をつめて斬りかかるチヒロ!
斬欲に負ける久々李
チヒロが見せた居合術はまだ未熟なものでした。しかし自身の喝を受け入れて、見よう見まねでも型に嵌め込もうとした事が久々李の心を動かす。
特に「俺の喝を受け入れて…!!」の部分です!
昼彦と同じだと思っていたら、こいつは違うぞ? となったんですよね。あれ? こいつとは“斬る”という対話ができるんじゃないか?と。そう思ってしまったらもうアウト(笑
出典:カグラバチ|外薗 健|集英社
抑え込んでいた“斬欲”が脳内を占める! 笑
いいキャラしてますね!
久々李はチヒロに剣術を教えるのか?
問題はこれからの展開です。どうにかチヒロは剣術を極めたい。その模範となり得るのが久々李なのです。しかし敵同士なんですね。
僕が予想するのは、久々李とチヒロの関係は「ONE PIECE」のミホークとゾロのような関係性になるのではないかな?というもの。討つべき敵なんだけど、剣の道においては師匠みたいな。
出典:カグラバチ|外薗 健|集英社
チヒロと昼彦と久々李の三角関係が形成されていると思うんです。まずチヒロと昼彦の関係性がありましたよね。そこに剣術を軸に久々李が割り込んで来たかたち。
久々李にとって昼彦は“斬る”という対話以前の会話からして成立していないんですよね。契約者として「酌揺」を振るうというのに、まともに剣術に取り組まない。
ここが久々李にはストレスになっていたところに現れたのが、同じく妖刀の契約者であるチヒロ。しかも自身の喝を受け入れた。これを“見込みがある”と思うかどうか。
久々李を利用して剣術を教わりたいワケですからね。久々李は「良い斬り合いがしたい」。チヒロとはそれができる、それをしたいと思わせられるかどうか。ここがポイントかな?
さぁどうなるのでしょうか?
まとめ
次回が楽しみであります!
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