この記事では、週刊少年ジャンプに連載中の「カグラバチ」に登場する昼彦について考察してみようと思います。もしかすると彼は物語における重要な立ち位置にいるのかもしれません。
昼彦の人物像と現状から、今後の役割と展開予想が導き出せないだろうか。加えて、僕には昼彦について1つの推論があるんです。そこから大胆な予想を展開してみたいです。
昼彦とは
名前 | 昼彦 |
所属 | 毘灼 |
年齢 | 18歳 |
妖術 | 血鶴(妖刀の命滅契約により失う) |
妖刀 | 酌揺 |
初登場 | 第48話「国獄 湯煙スクワッド」 |
昼彦は10名の妖術師によって構成される‟毘灼”の一員。六平国重の襲撃には参加していない。薄ピンクの色をした長髪の男。チヒロのような三白眼。両目の下に2つの点がある。
年齢はチヒロと同じ18歳。斉廷戦争が終わった年に生まれています。3歳の頃に知った選択肢が‟殺し”であり、もはや血肉となっていると自ら言う。
あまり世に触れさせてもらえなかったらしく精神的に未熟。極めて冷酷で残忍。挑発的な言動が目立ち、態度は尊大。しかし座村との現時点での実力差を認める冷静さを持つ。
毘灼の統領である幽から、過保護と言えるくらい目をかけられている。任せた作戦を昼彦の成長のためと捉えていた節がある。久々李のよると「甘やかしすぎだよ」との事(第61話)。
出典:カグラバチ|外薗 健|集英社血鶴
かつて持っていた妖術は「血鶴」。紙を出現させ、様々な形(鶴・蝶・手裏剣・矢印)に折るなどして操る。攻撃だけではなく視界共有といった使い道も可能。強力とは言えない妖術らしいが、昼彦はそれを昇華させる才能も持つ。
幽曰く「昼彦の戦闘の才は宝物」(第54話)。斗斗からは「妖術師の中じゃかなり上澄み」と言われている(第67話)。
漆羽洋児の死により妖刀・酌揺の契約者となる。その代償に妖術を失った。
チヒロとの友情
チヒロに対して「‟殺し”に塗れた18歳」という共通点にシンパシーを持っていた昼彦。「お前となら友達になれる」と言いました(第52話)。彼にはこれまで対等に友と呼べる者がいなかったのです。
昼彦は自分だけがチヒロの事を理解してやれると思っていた。そしてチヒロとの事を「本気で殺し合うことで友達になる」という風に考えていたのです。
殺しに生きる人間同士だから分かり合える、おれに共感して欲しいと考えていた昼彦。しかしチヒロは「こっち側」ではなかった。しかし違うからこそ命のやり取りをするとチヒロは言う。
出典:カグラバチ|外薗 健|集英社ドキュンする昼彦
このチヒロの言葉に友情を当てはめて昼彦はドキュン。
ここの部分の昼彦の考え方が僕には理解できません。よって非常に難解なのですが。
こういう事なんですかね。
物心つく頃から‟殺し”に手を染めており、世に触れて来なかったので誰か(友達)と遊んだ経験もない。そんな昼彦にとって遊びとは‟殺し”だった。
彼は「友達」とは何か、「友達と遊ぶ」とは何かを知らない。‟毘灼”以外の人間とは、殺すか殺されるかの2つでしかつながりを持てなかったのかも。それが昼彦にとっての対人関係のモノサシなのかな。
「友達」とは本気で殺し合える仲であり、尚且つ理解・共感し合える仲だと信じていた。矛盾しつつもね。そして、それはチヒロしかいないと思っていた。理解してくれるよね?と。
そこにチヒロが「違うから殺し合うんだ」という1つの答えを提示。昼彦の中の矛盾が解消する。‟殺し”に塗れた2人が〇し合う中で「友情」が育まれる。「友達」とはそういうものなんだと。
昼彦と剣術
出典:カグラバチ|外薗 健|集英社昼彦に剣術仕込んでやってくれ
昼彦に剣術を仕込んでやるように幽から言われていた久々李。しかし昼彦は「自分でなんとなくやる」からと拒否(第64話)。感覚派であると聞く耳を持たず。
妖刀・酌揺の契約者となるも、座村の監視下で使う事ができなくなる。命滅契約により妖術も失った。そんな中で「礼玄一刀流」の大師範・戦国与次郎と剣で戦う事となる。そして斬り伏せるんですよね。
昼彦は‟型”に嵌らない変幻自在の剣を操る!
出典:カグラバチ|外薗 健|集英社昼彦の剣の秘密
昼彦の刀は見えない。右手左手、順手逆手と自由に切り替える中で相手の死角を行き来させる事で見失わせるのです。これによって戦国与次郎は刀を見極める事なく斬られてしまった。
ここまでが現状です。
歌舞伎「佐廼島戦」と斉廷戦争
第52話にて、チヒロとの戦闘中であるにもかかわらず昼彦が歌舞伎を観劇します。その演目の名は「佐廼島戦(さのしまいくさ)」というもの。この演目を昼彦は観たことがある。
主人公は「佐助」。物語の最後で黒鬼を退治し、家族を取り戻して島は平和になるというもの。ただし昼彦の評価は辛辣です。つまらない。
注目は、その演目のワンシーンなんですよね。
Screenshot 今し方中断された演劇にて 敵が人質をとるシーンがある
出典:カグラバチ|外薗 健|集英社
その時 主人公の‟佐助”は身動きが取れず
敵を一時逃がす事になる
‟佐助”はクソだ 人質の一人や二人気にするな
現実なら己が殺されてる
人を斬り殺すくせに肝心なところで英雄を気取る
人間のフリをするな
この歌舞伎「佐廼島戦」というのは、斉廷戦争を題材に作られた物語ではないのか?と。ただし真実を伝えるものではなく、その内容は大幅に脚色されている。
主人公「佐助」というのは「剣聖」じゃないのかな?
出典:カグラバチ|外薗 健|集英社妖刀・真打の契約者「剣聖」
演目「佐廼島戦」というのは、斉廷戦争で妖刀契約者がおかした罪を隠す意図で作られた物語であって。史実とは正反対。「佐助」の行動も真逆。そのモデルである「剣聖」は英雄なんかじゃない。
ここが昼彦は気に入らないのかも。
第59話で座村が「毘灼は俺たちの罪を知ってる」と話しています。毘灼の構成員である昼彦も座村達の罪、そして斉廷戦争の真実を知っている可能性が高いんですね。
知っているからこそ、「佐廼島戦」がどういう物語であるかを知っていて、酷評しているのではないだろうか。あんなものはウソ。学校で教える教科書と同じ。
昼彦とチヒロの関係性
チヒロと昼彦は現在ライバル関係で描かれています。
チヒロにとって‟毘灼”は父の仇であり、奪われた妖刀を取り戻さねばなりません。昼彦は‟毘灼”の一員であり、妖刀・酌揺の契約者です。是が非でも討たねばならない相手の1人なのです。
しかしながら、チヒロと昼彦というのはもっと大きな関わりがあるような気がするんです。チヒロvs毘灼の枠組みの中には収まらないものを感じます。
出典:カグラバチ|外薗 健|集英社
どちらも斉廷戦争が終結した年に生まれているんですね。同じく18歳なのです。この斉廷戦争というのが「カグラバチ」という物語における大きな核となっております。
チヒロと昼彦はどちらも斉廷戦争に関わりのある者同士なのかもしれない。そう考えると、ただのライバル関係では終わらないと思うんです。
昼彦の役割と展開予想
斉廷戦争における「敵」の存在が明らかになりました。22年前に南東の海域に突如‟小国”が現れ、その民が侵攻して来たのが始まりだったのです。
出典:カグラバチ|外薗 健|集英社 Screenshot
この‟小国”の民の子供が昼彦だとすればね?
- チヒロ=妖刀制作者
- 昼彦=小国の民
- 剣聖=妖刀契約者
この‟三つ巴”の戦いで斉廷戦争にケリをつけるという構図ができあがるんです。18年の時を経てね。ここに物語は収束して行くのではないのかな?と
‟小国”の民不在で話が進んでいるのが気持ち悪いんです。そちらにも言い分があるハズなのです。蓋をされてしまっている事があるハズなんですね。
まだ妖刀契約者の罪というのが謎であり、そこで何があったのかは分かりません。おそらくですが、剣聖がやってはいけない事をしている。他の妖刀契約者は黙った。それらを国(神奈備)が隠してるのかな。
ここら辺が悪者っぽいんです。
毘灼というのは幽が棟梁ではあるんだけど、‟小国”の民の末裔である昼彦を擁して事を成そうとしているのではないか。毘灼は斉廷戦争で何があったか知っているんです。妖刀制作者と契約者を許さないというのが根底にあるのでは?
もしも剣聖こそが巨悪なんだとすれば、
チヒロと昼彦の共闘もあり得るのかなぁ。
もちろんチヒロは‟毘灼”を潰すことになると考えています。ここはシッカリ仇を討つハズです。少なくとも襲撃して来た3人は討つハズ!
その後なんですよね。
昼彦は物語のラストの戦いにも立っているような気がします。それがチヒロの前になるのか横になるのかは難しいところですけどね…
出典:カグラバチ|外薗 健|集英社お前となら友達になれる
友達になるとまでは言いませんが、剣聖(巨悪)に対するという意味でチヒロは「こっち側(昼彦の側)」って話になって行くのではないだろうか。剣聖こそが父の刀を使って斬ってはならない弱者を斬っていたのではないか。
チヒロと昼彦の関係性も変わって行くのかも?
まとめ
まだ昼彦には隠されている話があるような気がします。それはルーツなんですね。出生の秘密です。
幽が「あまり世に触れさせてやれなかった」と言っていますので、チヒロと同じく隠されて育てられていたのだと思われます。それが友達というものが分からない理由の1つかも。
昼彦は‟小国”の民の息子、あるいはハーフだったりするのではないか。こう僕は睨んでいます。これによりチヒロと昼彦と剣聖の三つ巴で斉廷戦争にケリをつけられそう。
昼彦の物語の役割とは、斉廷戦争における‟小国”の民の代弁者。それを昼彦が担ってくれる事で、斉廷戦争というものが更に奥行を持って語られるようになるんじゃないかな?
これからチヒロと昼彦の関係性にも変化が訪れるのかどうか。
ありがとうございました!!
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